ひそくろ2

連投

うん、うん、へえそうなんだ、ふうん
 適当な相槌を打っていく。話は聞いているし、興味がないわけじゃない。むしろおおあり
 「聞いてんのか」
 「きーてるよ」
 あっそ、つまらなそうに君が言う。
 そんな顔しないで、僕だってつまんなかった。
 興味がなかったわけじゃない、それは本当だけれどつまんなかった。
 今日の彼はよくしゃべる。ジョウゼツって言うやつ?二人でいる時、まったくしゃべらないこともあれば今日みたいにいろんなことを一気に話し出すこともある。
 二人とも気まぐれなのだ。いい方にも悪い方にも。
 利害の一致、それ故僕らは此処にいる。
 二人のでこぼこが綺麗に埋まっていると言ったらそれは違うのかもしれないけど。
 お互いのそれを削り合うことをせず過ごしてこれたのだと思う。
 小さな嫉妬(彼の対人関係について)とかはあったけれど、それ以外はいたって平和。
 僕は嫉妬深くて、彼も嫉妬深い。それを僕らは公言、というよりお互いしっている。
 彼がそのことによって嫉妬を沈めることができるかどうか(できないだろう、好かれていることに人一倍自信のない彼だから)はわからないけれど、彼が僕を好きなのは知っているから僕は彼からの好意を疑うことはしない。
 その代わりいろんなことが彼限定なのだ。
 僕は嫌われることに恐怖を感じる。彼もだ。
 誰しも嫌われるより好意をもたれたほうがいいのだろう。(重度の好意は遠慮したいけれど)
 僕らは小さく生きている。小さい中でどれだけ重みをかんじず生きていけるかがやはり重要になる。
 それにしたって僕は生きるのがとても苦手だ。
 なんども生きているような言い方だけど前世の記憶とかなんかは残っていないし、知ったところでなんになるのだろう。
 まあ、いい。
 僕は生きるのが苦手なのだ。
 依存、なのかはわからないけれど彼以外には色々なことを話したいと思ったことがあまりない。
 いや、話したいと思っているのかもしれないけれど臆病なのだ。
 彼以外の他人に自分の爪痕、弱みを見せてしまいたくないのだ。それは刃物をもって自分の命を狙いに来る何かと同じくらい怖い。
 それによって自分の中で生じる変化が怖い。恐ろしい。
 彼に対する好意の感情はずっと、ずーーーーっと変わらないだろう。彼は何回言っても信じてくれないけど。
 だけど、今僕のなにか、僕を形成しているなにかが少しずつ変わっているのを感じてる。
 いいほうなのか、悪い方なのか僕には全く検討がつかない。けれど
 「ねえ、クロロ好きだよ」
 僕は何か変わってきているのだ。


△世界に普通に生きてみたい僕たち。