2014-01-01から1年間の記事一覧

夕日は目に痛かった。はずだった。 いまの私の目には歪んで、見えて、いやそうでもないかも。 光は途切れず私に届く。 「コウは、すごいね」 なんとなしに、なんとなく、ついて出た言葉だった。 コウはなにも言わずに夕日を眺めている風にいた。 この丘はお…

彼がこの家に来たのは真冬の白雪がごおごおとこの国を蔓るとても、とても寒い日だった。 孤児だったらしい、棄迷児、というものらしいが、詳しくはわからない。 この家の頭の、私の父の白いセーターをちいさい体に羽織ってもこもこさせながら、ぎゅうとそれ…

つらいってなんだろうねって思う。この人の方が辛いから、大変な思いをしてきたからとか。 なんだろうね。 そう云う言葉がパワーの源になったりする人もいるんだろうけれどさ。 なんだろうなあ。今現在の私は私以上にきっと辛い人がいるんだろうなあとか思っ…

青年Sのひとりごと

なんだかな 期待をしないでねってことばがね すっごい耳に残ってるわけですねばばあちゃんだからとか そうゆうこと ぬきにしたりできるか 今の状態じゃ全く自分でもわからないわけですよあとね あいつは一応 ちんこてきに僕のおとうしゃんなわけなんでさ も…

悲しみは海ではないから飲み干してしまえる。

「なくなった!!なくなったよ」ある朝イヴァンは大きな声で彼に呼びかけた。 二つ並んだ寝台の片方に眠るアルビノとさえ疑ってしまうような色素具合の青年、ギルベルト。 「僕には何もないんだ」 ある少年はいった。常時なら白いほっぺをさむさで真っ赤にさ…

私だって怖かったそれ以上に怖いを体験した人がいるんだな